韓国自動車業界は、青息吐息の状態に追い込まれている。自動車メーカーの経営不振が、部品業界を直撃しているからだ。さらに、今年から始った最低賃金大幅引き上げと労働時間短縮が、賃金コストを押上げている。最賃と労働時間短縮は、文政権が始めたこと。回り回って、政府が救済せざるをえない羽目に陥ったのだ。

 

『中央日報』(11月15日付)は、「韓国政府、自動車部品業界に緊急支援、研究開発に2兆ウォン投入」と題する記事を掲載した。

 

(1)「韓国政府が自動車部品産業の競争力回復に向けた研究開発に2兆ウォン(約2000億円)を投じることにした。当面の業界の資金難解消に向けては金融支援対象を中小企業から中堅企業にまで拡大する案を推進する。14日の産業通商資源部と自動車部品業界によると、韓国政府はこうした内容を盛り込んだ自動車部品活力向上案を今月末に発表する。韓国政府は部品業界の競争力を高める中長期対策が必要だとみて未来自動車に焦点を合わせた大規模研究開発支援策を出すことにした。電気・水素自動車などエコカー研究開発に1兆ウォン、自動運転車研究開発に1兆ウォン(約1000億円)を投じる」

自動車部品業界が苦境に陥っている理由は、文政権による「労働条件」の急変にある。日本では、実施前に時間を置いて業界に準備させるものだが、韓国にはそういう配慮はゼロだ。しかも、「罰則付き」であるから企業は対応不可能である。根底には、「反企業主義」がはびこっている。これが当然という感覚である。世にも不思議な政府が登場した。

 

日本の自動車部品業界は、自動車メーカーと共同で部品開発する例が多い。独自で開発

した部品であれば、系列以外にも広く販売して収益基盤を固めている。韓国では、カーメーカーの部品買い叩きで薄利多売を余儀なくされるという違いがある。カーメーカーの買い叩き理由は、「労働貴族」による高賃金攻勢の尻を、部品メーカーにたらい回ししている結果だ。こう見ると、すべての原因が「労働問題」に帰着する。