アジア太平洋経済協力会議(APEC)の閣僚会議で15日、台湾から出席した鄧振中・行政院(内閣)政務委員が、環太平洋経済連携協定(TPP)参加の意向を改めて表明した。

 

台湾は、すでに日本へもTPP参加の意向を伝えていた。今回のAPEC会議中の発言によって、公式発言になった。問題は、非参加国の中国が妨害工作をするか否かである。日本政府は、来年の習近平氏の訪日スケジュールに支障が出ないか、懸念していると伝えられている。だが、中国が横槍を入れる「資格」はないのだから、加盟国全体の意向で受入れるべきだろう。

 

台湾『中央社』(11月16日付)は、「台湾、TPP参加の意向を改めて表明  APEC閣僚会議」と題する記事を掲載した。

 

(1)「21カ国・地域が参加するアジア太平洋経済協力会議(APEC)の閣僚会議が15日、パプアニューギニアで開かれ、台湾から出席した鄧振中・行政院(内閣)政務委員は会議の中で、環太平洋経済連携協定(TPP)参加の意向を改めて表明した。鄧氏は取材に対し、TPP加盟国の閣僚と会場で会った際、台湾の法改正や政策などの準備状況を紹介し、参加の意向を明確に伝えたと説明。TPPの参加については規則が定まっていないが、鄧氏が接触した国の代表は、話し合いの進捗について最新の状況を台湾に報告すると話したという。また、台湾の体制については各国から好意的な評価が示されたと明かした」

台湾のTPP参加は、歓迎すべきである。参加国が一国でも増えることは市場拡大に寄与する。

 

このTPP問題とは別に、ペンス米副大統領は17日、APECの台湾代表を務める張忠謀氏と会談した。米政府関係者が記者団に明らかにした。米政府高官が台湾代表と接触するのは異例だ。台湾を重視する姿勢を示し、中国をけん制する狙いがあるとみられる。『日本経済新聞 電子版』(11月17日付)が伝えた。

 

台湾代表は過去にもAPEC首脳会議を利用して米側と接触している。ただ、会談相手は国務長官だった。副大統領級との会談は初めてという。中国側の反発する可能性もあるが、米国側は取り合わないであろう。トランプ政権になってから米台は密接な関係を維持している。米国は、「台湾旅行法」(今年3月施行)によって米台の政府高官の往来を自由にする体制を取っている。この法律を盾に取れば、中国の抗議があっても一蹴できる。