中国は、米国から要請のあった幅広い通商改革に対し、書面で142の項目で回答した。内容は、今後対策を取ることに前向きな分野、すでに取り組んでいる分野、聖域とされる分野の3つのカテゴリーに分類されている。ロイターが16日伝えた。

 

いずれの項目も米国を満足させるものでなく、米ロス商務長官は「来年1月1日から予定通り2000億ドル分について関税率を25%(現在10%)に引き上げる」と発言した。

 

中国経済は10月以降、急速に悪化している。金融危機がいつ発生してもおかしくない状況へ追い込まれた。中国政府がこれを放置して、なお強気姿勢を貫くことは、「自殺行為」であろう。米国に屈しないという「メンツ」維持が、中国経済を破綻に追い込むであろう。習近平氏の権威は、確実に低下へ向かっている。

 

『ブルームバーグ』(11月16日付)は、「米中首脳会談、将来の交渉『枠組み』で合意の可能性ーロス商務長官」と題する記事を掲載した。

 

(1)「ロス米商務長官は15日、予定されている米中首脳会談がうまく行けば、貿易摩擦解消に向けた将来の交渉の『枠組み』で合意する可能性が高いが、それでも米国は来年1月に中国からの輸入品2000億ドル相当への関税率を予定通り引き上げる計画だと述べた。米中両国は現在、11月30日、12月1日の両日にアルゼンチンで開かれる20カ国・地域(G20)首脳会議に合わせて行う計画の首脳会談の議題と、現実的にどのような成果があり得るかについて話し合っている」

 

ロス長官は、将来の交渉の「枠組み」で合意する可能性が高い、と指摘している。先に中国が提示した回答には、すぐに解決に向かうような具体案がないことを示唆している。

 

(2)「ロス長官は、『大きなイベントはアルゼンチンのG20でのトランプ大統領と習近平国家主席の1対1の会談になるだろう。他のことは全て、これに向けた準備にすぎない。真の枠組みが作られるかどうかを決めるだろう』と話した。また、米中両首脳が『液化天然ガス(LNG)の輸入量がどうのこうのという細部に立ち入ることはなく、全体像を話し合うことになるが、うまく行けば将来に向けた枠組みが設定されるだろう』と述べた上で、『1月までに完全な公式合意に至ることはないとわれわれは確信している。それは不可能だ』と指摘した」

 

米中首脳会談が、具体的な成果を上げられずに終われば、世界的なショックは避けられないだろう。それにもまして、中国国内の衝撃は大きく、経済活動は一段の低下が見込まれる。厳寒期入りである。金融的に行き詰まり現象が一層、明らかになって行く