中国は、外貨準備高3兆ドル台割れを迎えようとしている。10月末は、前月比339億3000万ドル減になった。人民元安が進んでおり、外貨流出が進んでいるのだ。

 

『ロイター』(11月7日付)は、「中国外貨準備高は予想上回る減少、当局が介入強化の可能性」と題する記事を掲載した。

 

(1)「中国人民銀行(中央銀行)が発表した10月末の外貨準備高は前月比339億3000万ドル減の3兆0530億ドルと、予想以上の減少となった。10月末の外貨準備高は1年半ぶりの低水準。1ドル=7元を超える元安を回避するため、当局が介入を強化している可能性がある。減少幅は2016年12月以降で最大。9月は226億9000万ドル減だった」

 

10月末の外貨準備高は1年半ぶりの低水準。1ドル=7元を超える元安を回避するために介入した結果、外貨準備高を取り崩した可能性も指摘されている。

 

(2)「関係筋によると、中国は、1ドル=7元を超える急激な元安を阻止するため、巨額の外貨準備を活用する公算が大きい。最近の指標によると、中国からの資本流出は増えているが、2015年のような大規模な流出が起きている兆しはない。コメルツ銀行(シンガポール)の新興市場担当シニアエコノミスト、Zhou Hao氏は『景気低迷見通しや、金融緩和・積極財政寄りの政策を踏まえると、元は下落圧力に見舞われる』と述べた」

 

ここでは、誰も気付いていないが、経常収支の赤字問題は間もなく、市場の注目点になるであろう。

1~3月の経常収支赤字は341億ドル

4~6月の経常収支黒字は53億ドル

7~9月の経常収支黒字は160億ドル

 

1~9月の経常収支赤字は128億ドルである。9月は米中貿易戦争で駆け込む輸出があったが、それでも7~9月の経常収支黒字は160億ドルに留まった。これから見ると、10~12月の関税引き上げ第3弾2000億ドルが相当な圧力になって、中国の輸出が減って、経常収支の黒字幅が減る可能性がある。となると、今年通年では、経常収支が赤字転落もあり得る。その場合、外国為替市場はいかなる反応をするか。人民元売りが殺到することにならないか。外貨流出も起るであろう。要警戒である。