a0011_000050_m

EU(欧州連合)脱退をめぐった最後の交渉に忙しい英国のメイ首相が、アジア各国が核となるTPP(環太平洋経済連携協定)に参加する意思を英議会で表明した。TPPには、豪州やニュージーランドという英同盟国が参加するので、全くの「無関係」とも言えない。

 

英国は、日本と「準同盟国」という立場にある。軍事面でも協力関係を築いている。南シナ海の自由航行作戦に参加するなど、米英の同盟関係をバックにして日本との関係を深めているもの。

 

『ロイター』(10月11日付)は、「メイ英首相、TPP参加の用意表明」と題する記事を掲載した。

 

(1)「英国のメイ首相は、英政府として環太平洋連携協定(TPP)に参加する用意があると表明した。英国のTPP参加を巡っては、安倍晋三首相が英紙『フィナンシャル・タイムズ』とのインタビューで、両手を広げて歓迎すると語っていた。メイ氏は議会で『両手を広げて歓迎してもらえることを非常に喜ばしく思う。英国は参加する用意がある』と述べた」

 

この記事は、かつての「大英帝国」がEU脱退という歴史的な決断を下した。それだけに、すっきりと離脱できない困惑した気持ちもあるに違いない。だから、EUを離れる英国が、TPPに参加してもEUで得ていたほどのメリットを得られそうにもない、という冷めた見方が出ている。次の社説がそれだ。

 

『フィナンシャル・タイムズ』(10月11日付)は、「英国にとってTPP参加はささやかな慰め」と題する社説を掲げた。

 

(2)「11カ国が参加する『環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP)』に英国が加わることに日本の安倍晋三首相が示した熱意は、間違いなく大歓迎されるだろう。しかし実際問題としては、英国のCPTPP参加はEU単一市場・関税同盟からの離脱の穴を補うには到底及ばない。英国にとって圧倒的に大きな貿易相手であり続けるEUにモノやサービスを売る企業にしてみると、CPTPPには実際面でほとんど恩恵がなく、摩擦の種となるうえに、無視されることさえあるだろう」

 

英国のCPTPP参加は、EU単一市場・関税同盟からの離脱の穴を補うには到底及ばない。としている。その通りであろう。国民投票で、こういう結果になってしまった。時の勢いとは、恐ろしいものだ。

 

(3)「最初の異議は、地球儀を持っている人には一目瞭然だ。英国はアジア太平洋から遠く離れている。国というものは、遠くの親戚よりも近くの隣人とはるかに多くの貿易を行うのだ。実のところ、英国がCPTPP参加国への市場アクセスを得たいのであれば、一番簡単な方法はEUにとどまることだ。参加国11カ国のうち、EUは日本、カナダ、メキシコ、ベトナム、オーストラリア、ニュージーランド、チリ、シンガポール、ペルーとの間で、すでに貿易協定が締結されているか交渉を進めている」

 

英国がCPTPP参加国への市場アクセスを得たいのであれば、一番簡単な方法はEUにとどまること。その通りだが、EU離脱を決めた以上は、その穴をいかに埋めるかという善後策に頭を痛めている。それが、TPP加盟であろう。英国メディアからは、EU脱退がいかに残念なことか、その気持ちがひしひしと伝わるのだ。

 

(4)「確かに日本としては、英国との貿易協定が一切ないよりは、英国がCPTPPに参加する方がいいだろう。しかし日本側は、英国に拠点を構える日本の自動車メーカーが単一市場で自由に活動することを可能にしている英国のEU加盟継続が最善の結果だと考えていることも明確にしている。CPTTPはフォックス氏にとって政治的な得点となるかもしれない。だが、経済的には、おおむね象徴的なものになる。英国としては、EUを向いた通商政策の方がはるかにいい。CPTPP加盟は協定が何一つないよりはましだが、英国が今置かれている立場よりずっと悪いものになる」

 

英国としては、EUを向いた通商政策の方がはるかにいい。CPTPP加盟は協定が何一つないよりはましだが、英国が今置かれている立場よりずっと悪いものになる。ここまで主張するならば、英国で国民投票をやり直すことは難しいのだろうか。再考の余地がある。