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米国トランプ政権は、通商問題に比べて人権問題への関心が薄いと指摘されてきた。こうした批判に応えるべく、中国政府が行なっている新疆ウイグ族弾圧阻止に向けて経済制裁に立ち上がる意向を見せた。ロス商務長官の書簡で明らかになった。

 

国連の委員会は8月、推定で最大100万人のウイグル族が、新疆ウイグル自治区の超法規的な収容キャンプに拘束されていることに懸念を示し、解放を求めていた。米国政府も、国際世論の中国批判に背中を押され、中国への制裁に動き出すことになった。

 

『ロイター』(10月3日付)は、「米政府、対中テク輸出規制強化を検討、イスラム教徒弾圧で」と題する記事を掲載した。

 

(1)「書簡は、ロイターが2日確認した。輸出に際して特別認可を義務付ける主体に、中国の個人や企業を加えることを検討し、人権保護のための技術を更新する可能性があるとしている。中国に関する議会委員会を率いるルビオ議員らは9月、ロス長官への書簡で、イスラム教徒少数民族の扱いを巡って中国への制裁拡大を求めており、長官の書簡はこれに対する返信。米国務省は9月、中国当局が新疆ウイグル自治区で大勢のウイグル族などを抑留したことに深い懸念を表明していた」

 

米国務省は9月11日、中国政府が新疆ウイグル自治区で少数民族ウイグル族などのイスラム教徒の弾圧を強めていることに「深い懸念」を表明した。米議会の超党派グループは中国政府当局者などに対する経済制裁の発動を求めており、政府内で検討されてきたものである。

 

米政府機関は、すでに世界大手監視カメラメーカー、深圳の海康威視(Hikvision)や大華科技等中国公司(Dahua Technology)の使用を停止している。両社は、ウイグル自治区での監視カメラ開発に政府と協働してきたからだ。

 

中国政府が、「天網(スカイネット)」と名付けるAI機能付き監視システムは、2020年までに4億台以上の監視カメラ増設計画が伝えられている。この監視カメラの心臓部に当る画像認識機能ICチップが、米国から輸入に依存する。これが、米国による輸出禁止措置となれば、監視カメラ自体が機能しなくなるわけで、大きな痛手が予想される。前記2社の株価は急落している。