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中国は、落込む景気をインフラ投資で必死に支えようとしている。過去の日本の経験した道である。民主主義国では、経済不振の場合は政権交代ですむが、中国は一党独裁である。野党が存在しない政治構造であるから、あらゆる非常手段を取るだろう。それが、中国経済の傷を一段と深めていくに違いない。つまり将来、償還する段階になって、身動きできない状況に追い込まれると見る。

 

日本経済も過大な国債発行で、同じ轍を踏んでいるから、中国の直面する過剰債務問題の重圧がどの程度のものかはおおよその見当がつく。中国の中央政府が抱える債務総額は、地方政府の隠れ債務を含めると約1000兆円を超えている。対GDP比で7割を超えるのだ。詳細は、『日本経済新聞 電子版』(9月10日付)、「中国、地方の隠れ債務500兆円の憂鬱」で取り上げている。今後、この1000兆円の公的債務がさらに膨れ上がっていく事態を迎えた。このほかに、待ったがきかない公的年金の膨大な赤字で、次のような規模が見込まれている。

 

年金財源不足は、次のような推移をたどる予測である。

17年は、約7兆4400億円

20年は、約28兆8000億円

30年は、約51兆2000億円

(資料:『フィナンシャル・タイムズ』9月13日付「中国、福祉財源の賃金税徴収強化」)

 

このように雪だるま式に膨れ上がる債務の上に、今回の米中貿易戦争による衝撃をカバーすべく、新たな公的な資金調達を発表している。

 

『大紀元』(9月11日付)は、「中国、公共投資拡大で地方債発行を加速、3カ月で約19.5兆円調達」と題する記事を掲載した。

 

(3)「中国当局はこのほど、国内の景気下支えを優先し、インフラ投資拡大に政策転換したため、地方債の発行を加速させている。中国メディアによると、810月まで、インフラプロジェクトの資金調達が目的の特別地方債だけで、約11997億元(約194351億円)が発行される見通しだ。当局は、今年下半期において地方債発行の加速のため、関連規制を緩和した。金融監督当局である銀行保険管理監督委員会は9月初め、各銀行が保有できる地方債の額を発行量20%の上限を廃止した。今後、各銀行は地方債の全額購入が可能となり、地方債発行の拡大を促す」

 

金融監督当局は、各銀行が保有できる地方債の額を発行量20%の上限を廃止した。今後、各銀行は地方債の全額購入が可能となり、地方債発行の拡大を促すという。日本のアベノミクスが、日銀による国債の市中買い上げに似通った「緊急事態」の発生である。ここで、不思議なのは、中央政府が手を染めずに地方政府に押しつけていることだ。中央政府の財政状態は健全であることをアッピールする「メンツ」を重視している。実は、地方政府と国有企業の債務は、全て中央政府勘定にカウントされる。地方政府や国有企業に債務を押しつけても無意味なのだ。

 

(4)「米中貿易戦の激化で中国経済の失速が鮮明となって以降、7月末、中国共産党中央政治局の会議において、『経済の安定化』が強調され、これまでの債務圧縮政策から、景気を刺激する公共投資拡大の方針に変更した。中国財政部は8月中旬、特別地方債の発行を加速するよう各地方政府に通達した。政策転換を受けて、当局は各地の地方債の発行ペースを速めた。中国金融データ・サービス「Wind」によると、8月の地方債発行額は、7月と比べて16.7%増の約8830億元(約14兆1280億円)となった。9月の規制緩和を受けて、地方債発行ペースが一段と加速するとみられる」

 

これまでの債務圧縮政策から、景気を刺激する公共投資拡大の方針に変更している。8月の地方債発行額は、前月の16.7%増の14兆円強になる。銀行は全額買い入れることになった。どさくさ紛れの地方債発行である。こうやって、インフラ投資の量を増やしてGDPの押上げだけを考えているが、不採算工事が潜り込んでいるだろう。結局、日本が通ってきたと同じ道を歩んでいるわけで、後々、債務負担が中国経済を身動きできぬ事態へ追い込むことになる。