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米中はまた、斬り合いを始めた。8月23日、互いに160億ドル(約1兆8000億円)に相当する輸入品に25%の追加関税を発動した。関税の応酬は7月6日に続いて2度目で、対象規模はそれぞれ計500億ドルに膨らんだ

 

米国の関税引き上げの理由は、中国の不公正貿易慣行の是正だ。中国はどこ吹く風で、悪いのは米国と言って開きなっている。米国は、この中国をどのようにしたら「改心」させられるか、議論を始めている。

 

『ウォール・ストリート・ジャーナル』(8月23日付)は、「米中貿易紛争、WTO除名カード切れるか」と題する記事を掲載した。

 

この記事によれば、米国が指摘している「中国の不正貿易慣行」は、全てWTO違反である。それにもかかわらず、反省もせずに居丈高に振舞っている中国を懲らしめるには、WTOの基礎になった「GATT」24条を適用して除名することだという。事態は、そこまで行かなければ、解決しないのだろうか。

 

(1)「米国と中国の間でエスカレートする貿易紛争は、唐突に始まった話ではない。米国はかねて、中国が2001年に世界貿易機関(WTO)に加盟した際の約束を守らないことに不満を募らせてきた。だが、ドナルド・トランプ米大統領の一方的な関税発動は『ピュロスの勝利』(犠牲が大きく割に合わない勝利)となりかねず、米国の国益に幅広く寄与してきた世界の貿易ルールを損なう恐れがある。それよりも効果的だと思われる解決策がある。中国に対し、WTO除名もあり得ると警告することだ」

 

米国が、中国に反省を求めて関税を上げても、中国が報復してくる状態では「ピュロスの勝利」で割が合わない。そこで、中国をWTOから除名すれば、後腐れがなくてすっきりする。米国は、同盟国とはかっって実行する。もしそれができなければどうするか。米国が、TPP(環太平洋経済連携協定)へ復帰すれば、中国を市場から閉め出せる。そこまでやらないと、ケリがつかないのだろう。

 

(2)「WTOには加盟国を追い出す正式な仕組みがない。ただ、基本綱領を定めた「関税及び貿易に関する一般協定(GATT)」の第23条を使うことで、その目的を果たせる。第23条によると、特に協定の規定に抵触していなくても、全ての締約国がWTOを通じて得ようとする利益を『無効にする、もしくは損なう』場合、他国はその行為について提訴できるとしている。『中国経済は他の主要経済国とは異なる構造をしている。それはWTOの交渉担当者が当初想定していなかったものだ』。ジョージタウン大学のジェニファー・ヒルマン法学教授は6月、米議会の諮問機関である米中経済安全保障調査委員会でこう語った。WTOの規定は、中国のように政府と共産党、企業の役割が広範囲に重なり合う状況には対応していない。ヒルマン氏によると、第23条が意図するのは『まさしくこの種の状況』だという」

 

GATT23条の規定を使えば、中国をWTOから除名可能だという。WTOは、中国のように政府と共産党、企業の役割が広範囲に重なり合う状況を想定していない。中国はまさに、「鬼っ子」であるから、WTOと馴染まない「異質組織」である。WTOにとっては、ガン組織のような存在だ。中国をほっとけば、自由貿易のシンボルであるWTOが死滅する。中国をWTOから除名して、WTOの理想とする自由貿易を実現しなければならない。

 

(3)「WTO紛争解決機関の上級委員会のメンバーでもあったヒルマン氏が指摘する通り、中国はWTO加盟時に受け入れた約束に多くの点で違反している。WTO設立に向けた1994年のマラケシュ宣言では、加盟国が『オープンで市場志向の政策』に基づく貿易システムを目指すことで合意した。中国では、国家の拡大する一方で市場の力は後退している。外国企業は中国進出の際、決まったように中国企業への技術移転を強いられると話す。これでは中国政府の約束と違う。ヒルマン氏は口頭での措置も、WTOで異議を申し立てることができると指摘する」

 

中国の国有企業中心の産業構造は、「オープンで市場志向の政策」に違反している。また、中国企業への技術移転を強いることは、口頭でもWTOに異議を申し立て可能という。中国を甘やかすことなく、自由貿易原則によって鍛え直すことだ。

 

(4)「中国の差別的なライセンス供与や、海外の知的財産の盗用に対する取り締まりが不十分なことは、いずれもWTOの知的財産に関する付帯決議に基づく義務に違反している。WTOの全加盟国と同様、中国は補助金を全て公表することになっているはずだ。だが中国では多くの場合、国営企業からの低利融資や原材料などの形で便宜を図る形が取られており、補助金は公表されていないのが現状だ」。

 

中国が、知的財産権保護に違反していること。補助金を公表せずにこっそりと行なっていること。一々上げれば切りがないほどWTO違反の巣窟である。このような国を放置して置いてはいけない。米国が関税を上げれば、臆面もなく報復し、挙げ句に米国をWTOに訴える。この図々し振る舞いは、民度の低さと絡んでいるはずだ。