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中国人は、小話でも桁外れのものが好きである。米中貿易戦争が激化して中国経済が総崩れになった場合、隠し財源を使って、景気を挽回させられるというのだ。この話は、ほとんど実行不可能であろう。それだけの余裕が財政にあったとすれば、土地売却益に依存するような不健全な制度になるはずがない。財源不足ゆえに、土地売却益を組入れたはずだ。もう少し、理詰めに考えて貰いたい。

 

『ブルームバーグ』(8月10日付)は、「中国に45兆円超の隠し玉、景気浮揚で発動可能ー貿易対立激化なら」と題する記事を掲載した。

 

「中国には景気浮揚のための隠し玉がある。公的部門が蓄えている資金で、その規模はノルウェーの国内総生産(GDP)よりも大きい。中国全体であらゆるレベルの行政当局が抱える資金は計2兆88000億元(約45兆3500億円)に上ると興業銀行の調査担当者らは分析。こうした資金は貿易戦争が一段とエスカレートすれば、経済成長を支えるため活用が可能だ。使い残された財政収入や土地売却益、国有企業の利益や納税、公債から見込まれる収入などがこうした資金に含まれるという。今年の中国財政赤字見通しは2兆3800億元で、見えない「隠し玉」財政資金はこれを上回る」

 

地方政府が隠し財源を持っていれば、インフラ投資資金を土地使用権売却益で賄うはずがない。高利の資金を取り入れて、インフラ投資をやっている実情を知らないだろうか。また、財源にゆとりがあれば、退役兵士の年金を満足に支払っているはずだ。それができないから、年中行事のように元兵士が軍服を着てデモをしているのだろう。その光景は、異常である。隠し財源がないので、地方政府の過剰債務整理は進まないのだ。財政的にゆとりがあれば、不動産バブルは起こらなかったであろう。気休めの発言は慎むべきだ。