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中国海軍は現在、ハワイ沖で演習中のリムパック(環太平洋合同演習)で、米海軍から招待を取り消される大恥をかかされた。その腹いせに東シナ海で演習中である。

 

中国の発表では、18日午前8時から23日午後6時まで、東南部海域で武器を使用した演習を行うと発表した。ラジオ・フリー・アジア(RFA)によれば、中国軍の演習目的は招待されなかったリムパックへの反応と指摘した。海軍の立場からいえば、米海軍からリムパック招待を取り消されたのだから、「一矢報いる」意味でも演習をやらなければ気持ちが収まらないであろう。ところで、この演習には違う目的もあるという報道が出てきた。

 

『大紀元』(7月18日付)は、次のように伝えている。

 

(1)「中国政治評論家は、中国軍の演習期間は、習近平主席の外遊と時期を重ねており、対習近平派閥に対する政変を抑止する目的もあると語った。習主席は719から28日まで、アラブ首長国連邦、セネガル、ルワンダ、南アフリカの外遊が予定されている。『星島日報』は軍事専門家の話として、中国軍の演習は台湾に深刻な警告を送っていると述べた。17日、台湾の蔡英文総統は、米国から購入した29機の最新型攻撃ヘリからなる台湾軍の部隊『アパッチ・ガーディアン』の正式運用にあたり、式典を開いた。台湾北部からの中国軍の上陸部隊を防衛する作戦に用いられる」

 

中国海軍の東シナ海演習では、いくつかの意味が含まれている。①リムパックへの「腹いせ」。②習近平氏の海外出張中の「政変」に対するけん制。③台湾軍が最新鋭攻撃ヘリ部隊の正式運用への警告、などだ。これら多重の目的があるとしても、②の習近平氏の海外出張中の「政変」に備えるという目的には驚かされる。

 

習氏は、国家主席の任期制を外し、「終身国家主席」への道を開いたはずだ。その絶対的な権力者になったはずの習氏が、早くも「反習派」の登場に頭を悩ますとは、中国の政情が一筋縄でいかないことを示している。昨晩(22日)、NHK総合TVは、中国人権派弁護士300人が、正当な理由もなく逮捕勾留している状態が特番で放映された。これを見ると、習近平氏が最も恐れているのは、庶民の怒りを弁護する人権派弁護士の存在だという。中国が、選挙制度を敷かない理由も全てここにある。中国共産党は、国民から支持されていない事実を自覚しているのだ。はっきり言えば、「人民占領軍」という位置づけだ。

 

中国海軍の「力量」は、どの程度なのか。

 

米華字メディア『多維新聞』(7月18日付)によると、ロシアメディアが「中国海軍の実力が過大評価されている」と評している。『レコードチャイナ』(7月18日付)が転載した。

 

(2)「中国の大艦隊建造プロセスは決して順風満帆にはいかなさそうだ。094、093原潜の騒音は、20世紀のソ連の潜水艦よりも大きい。原潜分野におけるロシアの技術的優位に中国は遠く及ばない。外国の武器や軍備のクローン化に慣れている中国は、技術的な難題を抱えている。武器製造技術のブレイクスルーを実現するには、10年では足りないと指摘している。そして、技術的な問題のほか、中国の艦隊には世界の大海における水上作戦の経験もなければ、水中や空中の作戦経験もない。潜在的な相手を見くびることは致命的だが、過大評価すれば金が無駄になる。中国海軍の真の実力を判断するには、もう少し冷静になるべきだと論じている」。

 

中国海軍の手の内を知り尽くしているロシアが、ここまで中国海軍の技術と戦術を分析しているのは参考になる。原潜の騒音は、20世紀のソ連潜水艦よりも大きいと指摘している。通常潜水艦も騒音が大きく、海上自衛隊は簡単にその位置を捕捉できる。これでは、いざ戦闘という事態では、海上自衛隊の潜水艦部隊の餌食にされ、海の藻屑と消える運命だ。このように、戦闘能力で著しく劣る潜水艦を建艦する目的は何か。相手を「数」で驚かす、「孫子の兵法」に則っているのだろう。