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米中貿易摩擦が深刻の度を加えつつある。この貿易摩擦は、中国の習近平国家主席が「断固として闘う」意志を固めたとされ、貿易戦争=通貨戦争の様相を呈し始めた。ドイツの『南ドイツ新聞』はこのほど、米中の貿易摩擦に関連し「中国は計算を誤った」とする記事を掲載するほど。2015年に中国で起こった人民元相場と株価と急落の再現が懸念されるようになった。

 

中国の騒ぎが、ストレートで韓国へ影響する点が悩みだ。

 

世界経済の混乱が、世界貿易に波及するのは当然である。その際、影響を最も受けやすいのが韓国なのだ。韓国の輸出依存度(対GDP比、2016年)は、36.7%と高く世界経済の混乱から逃れられない運命である。ちなみに、中国は17.5%、日本は12.9%である。日本は、かつて「輸出立国」という国家目標を掲げていたが、長期の円高時代に海外へ生産拠点を移しており、現在は円高の影響を受けにくい体質に強化された。

 

韓国は、日本の後を追って企業の海外進出を進めた。ただ、日本企業がすでに地盤を築いた後なので苦闘している。こういう事情もあって、依然として高い輸出比率である。

 

韓国は、これまで2度の通貨危機に遭遇している。1997年と2008年である。今回また、通貨危機が到来するのでないか。海外の投資家は危惧の念を深めている。「2度あることは3度ある」と言われるように、ウォンや株式を処分して「コリアエクソダス」(韓国脱出)を急ぐのはやむを得ないことであろう。

 

韓国は、迫り来る通貨危機に対して守りの姿勢はどうか。

 

通貨防衛に役立つのは、経済力があって信頼が厚い通貨とスワップ協定を結ぶことである。世界では、米ドルと日本円がその最右翼に上がっている。日本は、世界一の対外純資産国であるからだ。GDPの2倍に及ぶ国債を発行しているが、ほとんど国内で消化されている。外国人が売り抜ける心配もない。よって、対外純資産の世界一が、何よりの物的担保として評価され、世界中で「危機に強い通貨」と呼ばれている。

 

韓国は、この円と通貨スワップ協定を結びたいが、「反日」で日本と疎遠になったことから、協定は失効したままだ。韓国の脇の甘さが出ている。慰安婦問題で激昂して、「日本の世話にはならない。中国へ頼む」と啖呵を切ったのだ。その中国の人民元が現在、投機売り対象になる危険性が高まっている。こうした通貨の人民元では「役立たず」なのだ。

 

韓国紙大手『中央日報』(6月29日付)は、「韓国、ウォン・株を売る外国人、コリアエクソダス始まる?」と題する記事を掲載した。

 

    「米国が利上げのスピードを速めると、新興国は通貨価値と株価が同時に下落する「緊縮発作」にあえいでいる。ここに米中間の貿易戦争が本格化して、外国人投資家は相対的に安全な資産を求めて動き始めた。この衝撃波が韓国市場まで広がってきている様相だ。最も大きく揺れたのは外国為替市場だ。28日、ソウル外国為替市場は6.6ウォンのウォン安ドル高となる1ドル=1124.2ウォンで取引を終えた。昨年10月30日(1124.6ウォン)以降、8カ月ぶりの最安値水準だ。今月15日から28日までの間、ウォン価値は対ドルで2.34%下落した」

 

    「『為替レートショック』は国内証券市場にも打撃を与えた。この日、KOSPI(韓国総合株価指数)は前日より27.79ポイント(1.19%)下落した2314.24で締め切った。昨年5月23日(2311.74)以降、1年1カ月ぶりの最低値だ。KOSDAQ(コスダック)市場は800線崩壊を心配しなければならない境遇に置かれた。KOSDAQは前日比16.49ポイント(1.99%)下落した810.20だった。 外国為替と株式市場の劣勢はウォン資産を売って離れる外国人のためだ」

 

資本は、最も臆病である。「危ない」とリスクを感じれば、さっさと逃げ去る。難破船で最初に逃げ出すのはネズミと言われる。海外資本は、ネズミなのだ。